固いのがお好き
義両親は、宮崎の出身である。
義父の歯はたぶん総入れ歯くらいの勢いでボロボロだが、
義母の唯一ちゃんと(?)しているのは、歯である。
義母は、宮崎の地鶏の炭火焼が大好きだ。
宮崎の地鶏は、親鶏を使っているため、身が固い。
噛みきれない上に、飲み込むのも困難である。
「これが美味しいのよ〜」
と、一人でくちゃくちゃと食べていた。
息子は、
「おかーさん…飲み込めないから、出していい?」
と、涙目になっていた。
義父は、はなから食べない。
私も夫も、勧められるから食べるが、
一口二口で十分。
「私、固い物に目がないのー😍」
固けりゃなんでもいいらしい。
そんな正反対のじじばばなので、献立にも気を遣ってしまうのだが、
そんなことは義両親は気づいてもいないんだろう。
それはまた、別の話。
昔、テレビで、絹ごし豆腐と木綿豆腐なら、絹ごし豆腐のほうが色々栄養分が流れなくていい、
というようなことを見てから、
豆腐は絹ごし豆腐を買うようになった。
ずっとそうしてると、絹ごし豆腐の方が慣れて、美味しく感じる気がしている。
うちの冷蔵庫には、なのでいつも絹ごし豆腐が常備されている。
ある日、義母に訊いた。
「なんか買ってくる物、あります?」
「そうね、木綿豆腐かな」
「え、お豆腐、まだありますよね?」
「私はずっと木綿なの。
固いのが好きなの!」
豆腐、食べんな。