義母は非人類(わたし的に)

義両親との突然の同居。同じ人間なんすか?

姉の死

朝、いつも通りに

「晩御飯は?」

と訊かれ、その日にある食材を伝えて作るメニューを伝えた。

 

帰宅後、夫と私が揃ったところに、

「ちょっと…」

と義母が声をかけてきた。

 

その日は珍しく私の方が先に帰宅していた。

お帰りなさい、と義母から声もかけられた。

 

だから、話があるなら私にしていたはずだ。

 

「名古屋の(なんとか)ちゃん、知ってるでしょ?」

 

や、知らないですけども。

 

義母も義父も、なぜかこういう話し方をする。

自分の知ってることは誰でもわかってるだろう、みたいな。

わかるわけがない。

 

「ねーさんよ、兄弟で一人だけ残ってる」

 

義父も義母も、兄弟姉妹が多い。

何人だか忘れたけど。

 

義父は家族とうまくいってなかったらしく、誰とも連絡を取っていない。

そして、たぶん生き残ってる人はもういない。

 

義母はマメに連絡をとっていたようだが、生き残ってるのはその「ねーさん」だけらしい。

 

「昨日、亡くなったって連絡あって」

 

そ、それは一大事じゃないすか…

 

「どうしたらいい?」

 

 

どうしたら?だと???

 

「どうしたら、て…とりあえず行かないんですか?」

「だって、名古屋だし。お金も、ねぇ…」

 

 

ん?

そんな、たった一人の姉が亡くなったというのに、お金がどうとか考えてるの?

い、意味がわからない…

 

なるほど、私だけだと素気無く断られるとふんで、夫が帰るのを待っていたのだ。

考えたもんだ。

 

 

夫「名古屋って言っても、新幹線で2時間だよ?すぐじゃん。

時間なんか山のようにあるんだし、行けばいいんじゃないの?

お金なら、あるよね?」

 

私「え…いや、まぁ、そりゃ無くはないけども…(うちらが出すの??)」

 

義母「うーん、でも、疲れちゃうし。」

 

 

                    疲れちゃうし

 

 

耳を疑った。

 

仲良しだったんでしょう?

一人だけ残ってたんでしょう?

大切なんじゃないの?

 

 

そう言えば、私たちが結婚をして、私の実家に義父義母も一緒に行ってお祝いをしてもらった時、義父だか義母だかどっちかわすれたけども、の、お母さん(夫の祖母だ)が亡くなった、と連絡が来た時、慌てて実家を出たのに、

「いいよ、別に行かなくて。早く帰りたかっただけだし笑」

と、死に顔も見に行かなかったことがある。

 

そういう人達なのだ。

 

 

「だからね、香典とかね…どうしようかなー、て」

 

香典なら出しますよ?

でもね、それって、私たち夫婦からお姉様に出すのであって、実の妹のあなたは自分で作るのが筋じゃないの?

 

何度でもいうけど、なんのための貯金なの?

 

そういうのって、気持ちなんじゃないのか。

自分のお金が減るのがイヤとか、そういうことは超越して考えられるべきことなんじゃないのか。

 

普段、遠出をしないから疲れるかもしれない。

それでも行きたいと思うのが、仲の良かった姉妹の想いではないのか。

 

でも、娘(夫の妹)とは、車で2時間くらいかかる場所でも、平気で遊びに行ってるじゃないか。

タケノコとか(たぶん私有地なのに無断で)取りに行ってるじゃないか。

 

 

理解の範疇を超えている。

 

私たちの「お別れに行ってあげてください」というススメを、

「うーん…まぁ…」

と、不満そうにぶつぶつ言いながら、自室に戻って行った。

 

何が正解だったのだろう?

お香典、いくら包みますか?どうぞ言い値で出しますよ、

と言えば良かったのだろうか。

 

 

その後、義母は誰かと長々と電話をしていた。

たぶん、「ねーさん」の家族だろう。

どういう相談をしたのだろう。想像もできない。

 

 

次の日。

「昨日のアレ、もういいから」

 

もう、いい?

 

「市役所だか区役所だかで、全部やってくれるんだって。だから、香典なんか送ったら、全部役所に取られちゃうから。」

 

 

なんで役所?

家族がいるのに。

孤独死とかじゃないのに。

 

 

よくわからないけれど。

わかったことは、

お金も時間も体力も、自分のものは一切使いたくない、ということだった。

 

 

薄情だなぁ…

この人は、私と同じ人間ではないんだな、やっぱり。

 

どんなことに関しても、分かり合える気が全くしない。

 

 

名古屋のおねーさんのご冥福を、お祈りいたします。